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Intervals.icu 用語メモ

Intervals.icuには非常に多くの指標がありますが、最初からすべてを理解する必要はありません。まずはFTP、Load、Fitness、Fatigue、Formあたりを押さえれば十分です。本記事では各指標が何を意味するのかを簡単に紹介します。

Intervals.icuは非常に高機能なトレーニング分析ツールですが、専門用語が多くてわかりにくいところもあります。

自分自身の備忘録も兼ねて、よく出てくる用語を整理してみました。

なお、ここでの説明は私自身の理解をまとめたものであり、厳密な学術的定義ではなく実用的な解釈を重視しています。

目次

FTP(Functional Threshold Power)

一般的には「数十分から1時間程度維持できる最大出力」で多くの指標の基準となる重要な値で、負荷や強度の計算に使用されます。


測定方法などは色々とありますが、下記のTrainingpeaksのサイトに詳しく記載があります。

The FTP Test: Physiology and New Protocols

Average Power

単純平均パワーです。

下りや休憩も含めた平均値になります。

NP (Normalized Power)

NP(Normalized Power)は、出力の変動を考慮して計算された「身体が感じた負荷に近い平均パワー」です。

単純平均パワー(Average Power)は全てのパワーデータを平均した値ですが、NPは高強度区間をより重視して計算されます。

計算方法は
①パワーの30秒移動平均を取り
②各データを4乗
③平均する
④4乗根を取る

二乗平均平方根(RMS)の4乗版のようなイメージです。

NPは「パワーの実効値」のようなものです。

平均パワーは同じでも一定で走った場合とインターバル走のような走り方では身体への負荷は同じではありません。

そこでNPでは、高いパワーほど強く評価するために「4乗平均4乗根」という計算を行います。

なぜ4乗かといえば4乗が

・心拍反応
・乳酸蓄積
・主観的疲労

との相関が比較的良かったと言われています。

Intensity(IF)

ライドの強度を表します。

計算式は概ね

IF = NP ÷ FTP

です。

例えばFTPが250WでNPが175Wなら、

175 ÷ 250 = 0.70

となり、IFは70%です。

目安としては

  • 0.55〜0.70:エンデュランス
  • 0.70〜0.85:しっかりしたトレーニング
  • 0.85以上:高強度

となります。

Load

トレーニング負荷を表します。TSSに相当します。

時間と強度を組み合わせて算出

Load = 時間(h) × IF² × 100

FTPで1時間走るとLoadは100になります。

Fitness

長期的なトレーニング量を示します。

CTL(Chronic Training Load)に相当します。

今日のFitness = 昨日のFitness + (今日のLoad − 昨日のFitness) ÷ 42

数週間から数か月の積み重ねを反映するため、

「どれだけ継続して練習しているか」の目安になります。

Fatigue

短期的な疲労度を示します。

ATL(Acute Training Load)に相当します。

今日のATL = 昨日のATL + (今日のLoad − 昨日のATL) ÷ 7

直近数日から1週間程度のトレーニング負荷が反映されます。

Form

コンディションの指標です。TSBに相当します。

Form = Fitness − Fatigue

として計算されます。

目安として

  • プラス:疲労が抜けている
  • ゼロ付近:通常状態
  • マイナス:疲労が蓄積している

と考えられます。

Form状態
+20以上かなりフレッシュ、練習不足の可能性も
+10〜+20レース向き
0〜+10良好
-10〜0通常のトレーニング状態
-10〜-20しっかり練習中
-20〜-30高疲労
-30以下オーバーリーチ気味

Work(kJ)

ライド中に行った仕事量です。

サイクリストにとっては消費カロリーの目安になります。

1,500kJのライドなら、

おおよそ1,500kcal前後のエネルギー消費と考えられます。

1 kcal = 4.184 kJなので、そんなにカロリー使ってないのではと考えられますが、

一般的なサイクリストの効率が20~25%くらいなので、仕事量がおおよそエネルギー消費量と同等になります。

Pmax

瞬間的に発揮できる最大パワーです。

Intervals.icuでは「最高1秒パワー」を設定することが推奨されています。

W’やW’balの計算精度向上に利用されます。

W’(W Prime)

FTPを超えて使える有限のエネルギータンクです。

WKOで使われるFRC(Functional Reserve Capacity)に相当します。

例えば

  • FTP = 250W
  • W’ = 20kJ

だったとします。

250W以下で走っている間は、基本的にW’は消費されません。

しかし250Wを超えると、その超過分がW’から消費されます。

300Wで走る場合

300W – 250W = 50W

超過しています。

W’が20kJなら

20,000J ÷ 50W = 400秒

理論上は約6分40秒で使い切ります。

より高出力の場合

350Wで走ると

350W – 250″ = 100W

なので

20,000J ÷ 100W = 200秒

3分20秒です。

同じW’でも、高出力になるほど早く消費されます。


W’bal

W’の残量を表します。

FTPを超えると減少し、FTP未満になると回復します。

FTP250Wの人なら200Wで走れば、今度は50W分回復していきますので、計算上はFTPが高いほど回復が早くなります。

下記は私のZWIFTレース時のデータです。一番下がW’balのグラフです。

短い上りがある周回レースなので、毎回ペースが上がるたびに出力が上がるのでW’balが下がっていきます。

もうちょっと上りが長かったりすると、W’を使い果たしたり、もしくは次周回の上りまでに回復できずに千切れることになります。

W’bal Drop

ライド中にW’が最も減少した量です。

簡単に言えば、

「無酸素タンクをどれだけ空にしたか」

を表します。

値が大きいほど高強度努力が多かったことを意味します。

Resting Heart Rate(安静時心拍数)

朝起床直後の心拍数です。

疲労、睡眠不足、体調不良などで上昇することがあります。

Intervals.icuではHRSS計算の基準として利用されます。

RPE(自覚的運動強度)

「どれくらいきつかったか」をパワーや心拍のような客観的データではなく、アスリート本人の感覚を数値化したものです。

一般的なRPEの目安

RPE感覚
1非常に楽
2
3軽い運動
4やや楽
5普通
6ややきつい
7きつい
8非常にきつい
9限界に近い
10全力

Session RPE

主観的運動強度によるトレーニング負荷です。

計算式は

Session Load = RPE × 時間(分)

となります。

パワーや心拍では表現しにくい

  • 筋疲労
  • 集中力の消耗
  • テクニカルな難しさ
  • 暑さ

なども反映できるのが特徴です。

HRRc(Heart Rate Recovery)

HRRc(心拍回復量)は、

「高強度運動の後に、心拍数がどれだけ速く下がるか」

を表す指標です。

一般的に、心拍数が速く回復するほど回復能力が高いと考えられています。

Intervals.icuでは、

閾値心拍数(Threshold HR)以上から始まる60秒間で、最も大きく低下した心拍数

として計算されます。

つまり、最高心拍 – 60秒後の心拍ではなく、

ライド中のすべての高強度区間から

「最も大きな60秒間の低下量」

を探しています。

Strain Score (SS)

Strain Score(SS)は、パワーデータから計算されるトレーニング負荷指標です。

XertのXSS(Xert Strain Score)に近い考え方で、

「どれだけ身体にストレスを与えたか」

を評価することを目的としています。

LoadやTSSとの違い

Load(TSS)は

  • 時間
  • 強度(IF)

から計算されます。

そのため、

同じLoadでも

  • 4時間のエンデュランスライド
  • 1時間の高強度インターバル

が似た数値になることがあります。

しかし身体へのストレスは必ずしも同じではありません。

Strain Scoreは、

高強度運動による負荷をより細かく評価しようとします。

Strain Scoreでは、

運動中の負荷を3つのエネルギー供給システムに分けて評価します。

SS CP

有酸素系(Oxidative)

長時間の持久力運動による負荷です。

例えば

  • エンデュランスライド
  • ロングクライム

などが該当します。

SS W’

解糖系(Glycolytic)

CPを超える高強度運動による負荷です。

例えば

  • 急坂
  • インターバル
  • アタック

などが該当します。

W’を消費する領域の負荷を評価します。

SS Pmax

スプリント系(PCr系)

瞬間的な最大出力による負荷です。

例えば

  • スプリント
  • スタンディングスタート
  • 短時間の全力加速

などが該当します。

Pmax付近の努力が反映されます。

Variability Index (VI)

Variability Index(VI)は、

「ライド中のパワー変動の大きさ」

を表す指標です。

どれだけ一定の出力で走れたか、あるいはどれだけ加減速やアタックが多かったかを確認できます。

計算方法

VIは次の式で計算されます。

VI = NP ÷ Average Power

  • NP:Normalized Power
  • Average Power:平均パワー

Power/HR

Power/HRは、

「心拍数に対してどれだけのパワーを出せているかを表す単純な比率」

を表す指標です。

Power/HR = 平均パワー ÷ 平均心拍

Efficiency

Efficiencyは、

「心拍数に対してどれだけ効率よくパワーを発揮できているか」

を表す指標です。

Intervals.icuでは、

Efficiency = Normalized Power(NP) ÷ 平均心拍

で計算されます。

Coasting

時速1km以上で移動しているにもかかわらず、パワーが10W以下だった時間です。

TRIMP

TRIMPは心拍数を使ったトレーニング負荷指標です。

運動時間が長いほど、また心拍数が高いほど大きくなります。

パワーメーター時代の現在ではLoadやTSSがよく使われますが、TRIMPは「身体がどれだけ頑張ったか」を見る心拍ベースの負荷指標です。心拍版TSSのようなものです

計算式は少し面倒なので省略します。

まとめ

Intervals.icuには非常に多くの指標があり、最初は何を見れば良いのか戸惑うかもしれません。

しかし、それぞれの指標が何を表しているのかを理解すると、ライド後にデータを振り返るのがより楽しくなります。

正直なところ、私自身もまだ全ての指標を使いこなせているわけではありませんし、「この数値が実際にどれだけ重要なのか」がよく分かっていないものもあります。

それでも、データを記録し続けることには意味があります。

今は活用方法が分からない指標でも、後から振り返ったときにトレーニングの変化や体調との関係が見えてくることがあります。また、新しい分析手法や機能が追加されたときに、過去のデータが価値を持つこともあります。

まずは難しく考えすぎず、

  • 今日はどれくらい頑張ったのか
  • 最近どれくらい練習できているのか
  • 疲労は溜まっていないか

といった基本的な部分から見ていくのがおすすめです。


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